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最新インテリアトレンド 2017-18
SILENCE 求められる“静けさ”

経済摩擦や紛争、国内外のメディアから溢れる音や映像などの情報の渦。私たちを取り巻く環境 は喧騒と混乱、騒音に満ちています。そんな時代に生きる私たちに必要なものとは何か。 今回のMaison & Objet Paris 2017のトレンドブース「INSPIRATIONS」では「SILENCE」と 題し、人の心を穏やかにし、静けさと安らぎを与えてくれる美しいデザインを見せてくれまし た。

Text & Photographs:細井 絵理子(c//space)
静寂への回帰

SILENCE 会場


展示会:Maison & Objet Paris 2017
会期:2017 年1 月20 日~24 日
会場:パリ・ノール見本市会場
INSPIRATIONS テーマ「SIRLENCE」
Scenography by Elizabeth Leriche

 毎年ご紹介しているMaison & Objet Parisのトレンドブース「INSPIRATIONS」。今年は昨年までの流れと打って変わって「SILENCE」(静寂)というタイトルで構成されました。しかし、実際のマーケット(展示会場で発表される新作)は昨年のWILDの流れが本格化し、トロピカルモチーフの拡大とアフリカンテイスト流行の兆しなど、装飾性豊かな色柄デザインも数多く見られました。その流れと逆を行くようなテーマに「なぜ今、静寂?」と思う人も多かったのではないでしょうか。
 しかし、ブースに足を一歩踏み入れた瞬間にその疑問は払拭されました。
 大小様々のモニターで埋め尽くされた小さな黒い空間からそれは始まります。世界各地で起こっている紛争を伝えるニュース映像、政治家が声高にスピーチする様、事件事故、繁華街の夜の映像など、喧騒に満ちた現代社会の悲鳴のような音と映像が滝のように流れてきます。そう、私たちが今生きている場所はこういった世界なのだと改めて気がつきます。
 そしてその先に歩を進めると、白い布が天井から下がる静かな通路へ。ベールに包まれたように徐々に明るくなる先に、今回のテーマ「SILENCE」の文字が白いネオンで浮かび上がります。
 「家」は心身ともに回復する場所。であれば、人は喧騒の世界から家に戻れば静けさを求める。そんな願いを美しくシンプルなプロダクト(花器やオブジェ)や静けさを体感できる家具や空間デザインで実現する。過剰で無意味な装飾を排し、美しくポエティックで洗練されたデザインで満たされた空間で静寂を取り戻す。そのような世界観、価値観を示したブース構成になっていました。


おびただしいモニターと音


喧騒から一転、静寂への入り口


「シー」と囁くイラストが入った皿のディスプレイ


モルタルで固められたスピーカーのインスタレーション


座るとフェルト素材のカバーで包まれ静かな場所に


キルティング仕立てになったフレームで覆われプライバシーが守られる揺り椅子

心を鎮め、安らぎを感じる自然界の音
水のせせらぎや森の中鳥の鳴き声や風の音を聞く


静かな場所の代表といえば図書館「白のライブラリー」


「白のライブラリー」にある本や花器は全て陶器などでできたインテリア・オブジェ


「黒のライブラリー」は寝室でもあり、祈りのための場所でもある


写真とプロダクトで「静けさ」を感じることができる8つのブース


美しい夕焼けの色を写し取ったような色、儚げなシャボンのように薄いガラスの花器

心踊り、どこか懐かしい色柄豊かなスタイル/エスニック、アフリカン、日本

あまりにリアルで驚いた立体的なデジタルプリントテクニック/ÈLITIS

 1月開催のMaison & Objetと同じ時期にパリ市内の会場で行われるファブリックスや壁紙の展示会「Deco Off Paris」からも最新傾向をご紹介します。昨年に引き続き、心を動かす装飾性は継続し、各社最先端の加工技術を用いて表情豊かな素材を発表。トロピカルワイルドを象徴するフラミンゴやパイナップル柄は拡大し、エレガントな花柄を得意とするメーカーでも新作柄にそれらを入れてくるなどエスニックモチーフの流れはまだ続きそうです。
 そんな中、最注目ブランドのÈLITISでは、素材と加工技術へのこだわりが今回も色濃く出ており、新鮮な驚きを見るものに与えます。色柄は国を限定しないエスニックなムードでいっぱい。ココヤシの皮を使ったモザイクタイル風壁装材やタオル地のカーテン生地、和紙とそっくりな技法で加飾された紙クロスや番傘模様の壁紙などが登場。入り口に大きく飾られた最新デジタルプリントの壁紙は本物の刺繍のように糸一本一本が立体的に表現され、触って見てもそれがフェイクだとは信じられないくらいの完成度でした。
 人気の壁紙ブランドCOLE & SONでは猿や象などのアニマル柄と幾何学模様を組み合わせて楽しく描き、スペインのGASTON Y DANIELAでは彩り豊かにアフリカンモチーフを採用。CASAMANCEでもアフリカンな幾何学模様や南国の植物モチーフ、番傘模様が登場しました。そして新ブランドMISIAでは日本滞在経験のある女性デザイナーが東京の夜のネオンからインスピレーションしたという生地やカスリをモチーフにしたジャガード生地、FUJIと名前がついた美しい織りの生地を発表するなど、日本の職人技と洗練、自然の豊かさから影響を受けたというシリーズを発表し、注目されました。


懐かしいアイレットレース/ÈLITIS


タオル地の新作クッション/ÈLITIS


ココナッツの実の皮をカットしペイントしたタイル風壁装材/ÈLITIS


竹や笹のモチーフは他のブランドでも登場/ÈLITIS


水落としのような技法にも見える和紙風壁紙/ÈLITIS


鳥の羽のような繊細さもあるリネン素材の装飾/ÈLITIS


大きな番傘模様の壁紙/ÈLITIS


ジャングルモチーフの壁紙/COLE & SON


様々なアフリカの動物たちがモチーフに/COLE & SON


色あざやかなアフリカンモチーフ/GASTON Y DANIELA


大胆な南国の植物モチーフ/CASAMANCE


アフリカの民族衣装を思わせる色使い/CASAMANCE


MIDNIGHT TOKYOと名がついたネオンのような光沢のベルベット素材/MISIA


かすりや絞り染めをモチーフにしたファブリック/MISIA


日本の金魚を柄に/MISIA

美しく淡く柔らかな色

白のように淡いピンク生地を使った椅子/ÈLITIS

トレンドテーマ「SILENCE」に見られたように淡い色調やグラデーションはトップブランドの中ではすでに現れ始めています。その中でも注目したいカラーは淡いピンクと白のバリエーション。少しオレンジ味のあるサーモンピンクや赤ちゃんの頬を思わせる淡いベビーピンク。生地や壁紙、家具などに登場しています。また、ドイツのトップブランドSAHCOの新しいデザイナーの新作では、60年代のアメリカ西海岸で見られた女性の水着やアイスキャンディを思わせる淡いペールトーンのカラーパレットが登場。プラスチックカラーのように少し人工的な光沢を持たせて、ただ甘いだけではない新鮮味を出しています。


壁紙の色に注目/PETITE FRITURE


テーブルウェアにもこの色を使って/PETITE FRITURE


様々なテクスチャーの白い生地を使ったコーディネーション/PIERRE FREY


新作のクッション/SAHCO


デリケートで光沢が美しい生地/SAHCO